2000年以上の時をかけ、時代背景などの影響を受けながら変遷を遂げてきたアルファベット文字。その成り立ちやストロークの美しさの理由を紐解きながら、手書き文字で表現するカリグラフィーは、ギリシャ語のCALLI(美しい)、GRAPHEIN(書くこと)を語源に持ちます。古代ローマの碑文の文字が起源となり、写本芸術によって発展していきます。活版印刷の発明により一時衰退するものの、19世紀にエドワード・ジョンストンが復興を手がけ、今も脈々と受け継がれています。
近年のその表現方法は、中世の写本に代表される伝統的なものからコンテンポラリーなものまで様々で、また書き手の個性によって使うツールや画材もバラエティ豊かです。その多様性から分野を問わずカリグラフィーが求められるシーンが増え、より高い技術や正しい知識が求められるようにもなってきました。
手書きする機会が減るIT 時代にありながら、手書きの良さは見直されつつあります。それは人の手を介した美しい文字の中に、単に言葉を伝えるだけではない、心を打つ何かがあるからなのでしょうか。Apple の創業者スティーブ・ジョブズ氏も、かつてカリグラフィーの魅力の虜になった1人です。彼の手によってPC の中にもカリグラフィーをベースにした美しいフォントが取り入れられるようになりました。
芸術性と実用性を兼ね備えるカリグラフィーは、これから更に形を変えて、広く生活の中に根ざしてゆくことでしょう。書き手の息遣いがペン先を伝って紙へ。そこには感情や躍動感が宿り、生きた文字となるのです。
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